大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)228 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人臼杵敦の上告理由第一点について。

上告人が原審で主張した表見代理の抗弁は民法一〇九条所定の事実であつて、同

法一一〇条所定のそれではなく、従つて原判決の認定判断したところも、右一〇九

条所定の表見代理の成否であることは記録上明らかである。それ故所論は原審にお

いて主張、認定のない事実に基いて、原判決の認定判断を論難するに帰し、上告適

法の理由となすに足りない。また所論引用の判例は本件に適切でなく、所論はすべ

て採るを得ない。

同第二点について。

所論は、上告人の権利濫用の主張を排斥した原判決に民法一条、憲法二九条の適

用解釈を誤り、且つ審理を尽さざる違法が存すると主張するに帰する。しかし、本

訴の提起が所論三の(一)乃至(三)などに指摘するような被上告人の私利私慾の

ため善意の第三者たる上告人に損害を加える目的を以てなされたものであることは

原審の認定しないところであるのみならず、被上告人の上告人に対する本訴請求は

権利の正当な行使であるとの原審の判断は是認できるから、所論前段の主張はその

前提を欠くものというほかなく、また証拠申出の採否は原審の自由裁量に属すると

ころであるから、所論の証人を採用しなかつた原審の措置に所論后段主張の違法も

認め得ない。ひつきよう所論は原判示に副わない事実若しくは独自の見解に基いて

原審の認定判断を論難するものというほかなく、上告適法の理由となすに足りない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

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最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

裁判官 島 保

裁判官 垂 永 克 己

裁判官 高 橋 潔

裁判官 石 坂 修 一

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